Anchor Ship Partners

海事プレスに当社記事が掲載されました。[コロナ後を見据え準備]

<コロナに打ち克つ>コロナ後を見据え準備

アンカー・シップ・パートナーズ・篠田哲郎社長

 ― 新型コロナウイルスの感染拡大で思うことは何か。

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「現在の当社業務を運用と調達に分けると、運用側は大きく分けて一般商船の保有と郵船クルーズへの関与に分かれる。言わずもがなだが、一般商船は社会インフラであり、この環境になって改めてわれわれ島国に住む者にとっての海運業の重要性を強く感じる。生活物資に始まり、日常生活に不可欠な電気やガス、最低限の移動のために必要な燃料など、海運業がないと日常は成り立たない。この厳しい状況の中でも船は動いており、世界中で物資輸送に従事している。われわれの役割は船主業に近いわけだが、最前線で働く方々は文字通りわれわれの命をつなぐための日常を支えてくれている。強い敬意を抱かずにはいられない」

― 昨年出資した郵船クルーズについては。

「郵船クルーズは、コロナウイルス問題がここまで大きくなる以前から先を読み、政府の対応に先駆けてさまざまな議論を重ねてきた。いち早くお客様の安全確保を第一に自らの看板である「世界一周クルーズ」の見送りを決断した。われわれは関与してから日がまだ浅いが、日本郵船を含めて迅速かつ適切な対応がとられ、意識の高い社員一人ひとりが一糸乱れず丁寧に物事を進めている様子に思わず唸ってしまった。呼応するように多くの「飛鳥」ファンから応援メッセージが寄せられている。まさに平時ではないからこそ、数字では決して見えない、事業としての本当の強さ、を垣間見た思いだ。われわれの投資は決して間違っていないことを改めて確信している」

― 取引関係のある金融機関はどうか。

「われわれの調達側は、全国に広がる金融機関ということになるが、こちらも社会インフラとして急変する顧客企業や個人に対して最前線で向き合っている業種のひとつだ。思い起こすと、リーマンショックやその後の円高の際、船舶融資を決して止めずに継続してくれた銀行、リスケを含めた経営支援をしてくれた銀行やリース会社が海事クラスターを支えてくれた。今回はより大きな問題が日本中、世界中で起こっているわけだが、"地元を支えん" "顧客を守らん" とする多くの声が今も聞こえてきている。業務の性質上、在宅勤務すら容易でない環境の中で、顧客や地元を支えるべく専門部隊を作り、高い倫理観と正義感を持って向き合われている方々がたくさんいる。同じ金融出身者として、"こういう時こそ金融の出番" との思いは昔も今も変わっていない。同じ金融出身者として頼もしく、誇りに感じる」

「このように見ていくと、われわれが日々関わっている方々は、みな獅子奮迅の活躍をされて難局に向き合っておられる。そのような事業に携わることができるわれわれは幸せであり、だからこそ、この局面から多くを学び、"その先" を考えねばならない」

― これから取り組んでいきたいことは何か。

「テクノロジーの進歩のおかげで、われわれは今日も在宅勤務を続けながら業務の継続が可能になった。このことは例えば働く場所の多様化による都市部から地方への広がりなど、多くの気付きを与えてくれていることも事実だ。一方で今は、さまざまな要素を削ぎ落し、日々自らと自らの大切な人々の"命"に向き合わざるを得ない局面でもある。このような時代を迎え、改めて海運を軸とした海事クラスターや金融は、決して人々の生活の中で削ぎ落すことのできない事業であることが誰の目にも明確になっているとも言える」

「かけがえのない価値をいかに再認識し、いかに浸透させ、どのようにして本当の意味での付加価値を取り戻すか。われわれのような小さな企業でも貢献できる役割は何か。これまで同様、必ず答えはあると信じて皆で議論をはじめている。物理的に集まることができずとも、知恵を皆で持ち寄ることは引き続き可能だ。多くの前提が崩れ、変わるであろう“コロナ後”をチャンスと捉え、それぞれが命を守りながら仮説を立て、議論を深め、前を向きつつ準備を進めながらその日を迎えたいと考えている」


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